卒薬のすすめ

心理学で博士号を取得した薬剤師が薬に頼りすぎずに心身の健康を維持する情報を海外の論文に基づいて紹介するブログ

こころの健康

「作る」ことが幸福感を高める

近頃、自分自身で家具や小物を作るDIY (Do it yourself) が人気を得ています。流行の背景には、インターネットの普及、消費社会からサステナブルな社会、すなわち持続可能な社会へのシフトがあげられますが、コロナ禍による巣ごもりも一役を担いました。DIY…

部下への信頼がチームを強くする

新年度になり、新しい職場で仕事を始めた方もいらっしゃるのではないでしょうか。では、あなたはどのような上司を求めますか。WBCで一躍、時の人となった栗山監督は指導者のイメージを一新させたと言われています。選手を信じる姿勢がどれだけチームを強くし…

アートを処方する

美術館に行って、心がスッキリした経験はありますか。医師から、「あなたの病気を治すために、美術館に行くことを処方します。」と言われたら、どう思いますか。実は、このような「社会的処方箋」が欧州、北米、オーストラリアなど多くの国々で広がりをみせ…

上司の「聴く」姿勢は仕事への意欲を高める

満開の桜が終わる頃、新年度になり、職場で部下を抱える立場になった方もいらっしゃることでしょう。パワーハラスメントが社会問題となり、多くの企業が、部下を育成するための研修を実施しています。人材育成の基本的な姿勢の1つとして、積極的傾聴(activ…

ポジティブ感情を習慣化する

日々の生活の中で、ポジティブな感情を維持し続けることはとても難しいことだと思います。ついネガティブな出来事に目が向き、考え続けてしまうことが多いのではないでしょうか。特に医療従事者は病気という深刻な状況下での対人業務、長時間勤務、業務の煩…

コロナ禍で心の健康を維持する

連日、コロナ感染者が過去最高を記録したというニュースを耳にします。多くの市町村で飲食業の時短営業が開始され、学校ではオンライン講義が増加し、日常の生活スタイルの変化を余儀なくされている方も多いのではないでしょうか。心の健康にとって、何をし…

声援は選手のパフォーマンスをあげる?

オリンピック、パラリンピックの選手のパフォーマンスに感動した方も多いことでしょう。コロナ禍での開催ということでたくさんの批判もある中、多くの選手が開催に対する感謝を述べていた場面はとても印象的でした。競技場のほとんどが無観客となる中、監督…

クリエイティブな思考力を高める

そろそろ紅葉が見頃の季節となりました。普段、自宅で過ごすことが多い方も、紅葉に出掛けようと考えている方もいらっしゃることでしょう。Creative thinkingとは「創造的思考」と訳され、新しく価値のある着想を生み出すような思考と定義されています。では…

"共感力"が感情を豊かにする

外出を控える日々が続きますね。自宅でどのように過ごしていますか。読書をする、料理をする、運動をする、オンライン飲み会をする。中でも、映画を見る機会が増えた方も多いのではないでしょうか。最近は定額で利用できるサービスが増え、手軽に様々なジャ…

表情から正確な感情を読み取る

マスクが欠かせない生活になりましたね。もともと日本人はマスクに抵抗感がない人が多いですが、欧米ではマスクに抵抗感をもつ人が少なくありません。これには何か理由があるのでしょうか。先日、こんなニュースを見ました。日本の絵文字は目で感情を表現し…

フロー体験を日々の生活の中で実践する

フロー(Flow)体験という言葉を1度は聞いたことがあるのではないでしょうか。有名な野球選手が、ヒットやホームランを打つとき、ボールが止まって見えた、というのは有名な話です。1975年に心理学者のミハイ・チクセントミハイによってフロー理論が提唱さ…

リバウンドをしない心をつくる

コロナ太りしていませんか。家にいる時間が長くなると、ついつい食べ過ぎてしまうものですね。ダイエットを考えている方、始めた方、すでに挫折してしまった方、人それぞれではないでしょうか。食事制限と運動を長く継続することは大変です。しかしながら、…

自分で変えられない状況を肯定的に変容させる

なかなかコロナウイルスの終息が見えてこないですね。見えないウイルスへの恐怖、先行きが見えない不安、思うようにできないことに対する怒りが増幅しているようにも感じます。時として、そのような感情は他者に向けられることがあります。DV被害の増加、感…

女性は物理が苦手?可能性を広げる!

学生の頃、物理は得意でしたか?女性は苦手だったと回答する方が圧倒的に多いのではないでしょうか。しかしながら、女性は本当に物理が苦手なのでしょうか。ただ単に、“女性は物理が苦手である”という思い込みが原因だったのかもしれません。科学・技術・工…

文学小説で対人関係を円滑にする

中高生の頃、周囲の大人から文学小説を読むように勧められた経験はありませんか。日本人として知っておきたいから、読解力が高まるから、試験に出るから、宿題だったから、そんな理由で読んだ経験がある方もいらっしゃるでしょう。一方、ベストセラー小説の…

感情をコントロールすることの意味

人間は感情の生き物です。どんなときでも冷静に対応したいものですが、なかなかコントロールできないというのが本音ではないでしょうか。母親の感情は、そのまま子供に影響します。母親の感情が不安定な場合は、子供の感情もまた不安定です。では、感情をコ…

鎮痛薬で他者の心の痛みに鈍感になる!?

前回は共感性を高めるオキシトシンの有益性に関する論文を紹介しましたが、今回はその逆で共感性を低下させる要因に着目したいと思います。脳画像法(fMRI)による研究では、身体的疼痛に関連する脳領域と心理的疼痛に関連する脳領域は一部共通していること…

幸せホルモンで学習と共感性をアップさせる!

“幸せホルモン”というのをご存知ですか?母親が子育てをする際に、視床下部から分泌されるホルモンのことで、オキシトシンといいます。人や動物とのスキンシップ、美しいものを見る、美味しいものを食べる、人に親切にする、このような行動で分泌されること…

姿勢が心の緊張を緩める:パワーポーズ(Power Posing)

パワーポーズ(Power Posing)は、社会心理学者Amy CuddyのTEDでのプレゼンテーションでご存知の方も多いのではないでしょうか。力強いポーズ、自信が高まるポーズのことを言います。日本語で「肩を落とす」とは、「がっかりして、力が抜けて肩が下がる」こ…

病に負けない性格:SOC(Sense of Coherence)

SOC(Sense of Coherence)とは日本語でコヒアレンス感,首尾一貫感覚とも訳されます。1970年代,健康社会学者であるユダヤ系アメリカ人の Antonovskyは,更年期の女性の精神的身体的健康度を調査しました。すると,強制収容所から生還した群では29%,経験…

温かいコーヒーは信頼感を高める!?

初対面の人と飲み物を飲むとき,温かいコーヒーと冷たいコーヒーのどちらを選びますか?「抱き癖がつく」という言葉がありますが,必ずしも悪いものではないようです。愛着研究において,乳幼児期の身体的なぬくもりの経験は,大人になって他者と信頼関係を…

マインドワンダリング(Mind Wandering)

poppy 最近マインドフルネスという言葉をよく耳にするようになりました。マサチューセッツ大学医学部において医学的効果が科学的に実証された心理療法の1つです。アメリカ心理学会では、ストレス対策の柱として、その有益性を支持しています。Googleなどの…

柔軟に対処法を変えてみる(Coping Flexibility)

コーピングとは,ストレスを受けたときの対処行動のことを意味します。甘いものを食べる,お酒を飲む,友人と話す,事象の解釈を変えてみる,怒りをコントロールするなどなど。これらは全てコーピング方略です。よりたくさんのコーピング方略をもつことが良…

笑うことの大切さ

laughter 毎回、心身の健康に役立つテーマを決めて、海外の論文を紹介しながら考えてみたいと思います。最初のテーマは「笑い」。先日、ある学会で「笑いと医療」を拝聴し、90分間ずっと笑い続けました。笑いはリウマチ、糖尿病、脳卒中、心疾患、口腔環境だ…