卒薬のすすめ

心理学で博士号を取得した薬剤師が薬に頼りすぎずに心身の健康を維持する情報を海外の論文に基づいて紹介するブログ

ジャンプして骨を丈夫にする

f:id:hrk023678:20210520205432j:plain

コロナ禍の巣ごもり生活で運動する機会が減った方も多いのではないでしょうか。一方で、テレビやSNSでは自宅で出来る様々なエクササイズが紹介されていますね。中でもジャンプするだけというのは、もっとも簡単なエクササイズではないでしょうか。実はジャンプして骨に刺激を与えることで骨を丈夫にすることが出来るんです。今日は、ジャンピング運動の骨密度への影響について、複数の研究論文の結果を分析した研究についてご紹介します。

Zhaoらは、閉経前の女性を対象として、ジャンピング運動の骨密度に対する影響を調査した研究を対象としてメタアナリシスを行いました。キーワード検索の結果、該当した1,952の論文のうち、研究デザイン、対象者、介入方法等の条件にあった6つの論文について詳細に分析を行いました。6つの論文の対象者は20.5歳から41.3歳までの女性、参加者数は27名から120名、実施した国はイギリス、日本、フィンランドアメリカのいずれかでした。研究期間は6カ月から1年間、介入群は実施回数や時間は異なるもののジャンピング運動を中心としたプログラムを行い、対照群はストレッチなどの軽い運動または運動なしのいずれかでした。全ての研究は、DXA法による骨密度測定によって評価が行われていました。その結果、ジャンピング運動は、脚の付け根の重要な骨である大腿骨頸部(0.017±0.474g/cm2, p <0.001)と大腿骨転子部(0.021±0.443g/cm2, p <0.001)の骨密度を有意に増加させました。一方、腰椎の骨密度には影響しませんでした(p = 0.181)。

骨粗鬆症は骨密度の減少に伴い、骨が脆くなり、骨折しやすくなる病気です。例えば、くしゃみなどの小さな衝撃でも骨折を来たし、寝たきりになることもあります。その発症は、女性ホルモンと密接に関連しているため、女性の病気と思われがちですが、実は男性の罹患者数も年々増加しており、予後は不良と言われています。ジャンプは、骨密度を増加させ骨粗鬆症を予防するだけでなく、筋肉を増やす、脂肪の燃焼を高める、体幹を鍛える等の効果が知られています。ジャンピング運動で検索すれば、バーピージャンプ、ジャンピングジャックなど様々な方法が見つかります。エア縄跳びであれば、足に縄が引っかかることもありません。この機会に、ご自身にあったジャンピング運動を探してみてはいかがでしょうか。

Zhao R, Zhao M, Zhang L. Efficiency of Jumping Exercise in Improving Bone Mineral Density Among Premenopausal Women: A Meta-Analysis. Sport Med. 2014;44(10):1393-1402. doi:10.1007/s40279-014-0220-8